前回はレギュレーション=制約についてチェックしました。作曲の作業に取り掛かる前にやることはまだあります。それは「モチーフ」を決めること。

ここで書くのは、音楽で言うメロディの最小単位としての「モチーフ」ではなく、もっと一般的に作品の動機とか元となる思想という意味での「モチーフ」です。これを事前に頭のなかで整理しておかないと、あとで歌詞を書くとき、また実際に音を紡いでいくときに軸がブレてしまい、右往左往してしまいます。

一つの楽曲の中では、伝えたいことに一貫性を持たせるのが重要だと考えてます。そして、曲に使われる音のひとつひとつはその「伝えたいこと」を表現するためのパーツです。最初にモチーフを決めておくことで、無駄な音を出さなくて良くなるし、最終的に作品の出来が洗礼されてきます。

何が言いたいのかわからない、ただ暴風雨のように次々に音が降ってくる曲は個人的には嫌いです。目指すべきは、作品の中の一つ一つがしっかりと一つの目標に向かって流れていく、川とか滝ような曲です。まぁ、そこまで満足できるものはまだ作れたことはないですけど。

じゃあ、実際にモチーフを頭のなかで考えてみます。

まず、レギュレーションにもありましたが、「出会い」あるいは「別れ」がまずテーマでなくてはありません。

ふーむ。個人的には「出会い」と「別れ」は切っても切り離せないものだと思います。「出会い」の瞬間から、「別れ」までのカウントダウンは始まってますよね。別の言い方をすれば、「別れ」のない「出会い」はないということです。
でも、レギュレーション上、どちらか一方をテーマとしなければならないので、どちらもというわけにはいきません。

「出会い」は必ず「別れ」につながっている…でも、「別れ」が次の「出会い」に必ずしもつながるとは言えません。
つまり、「出会い」と「別れ」は不可逆性を持つ言葉ということですね。ここでモチーフとなりうる方向性が二つ見えました。

一つは、本質はすべて「出会い」にあると考えて、「出会い」をメインのテーマとしながらも、その先の「別れ」をどことなく表現する。
明るく爽やかな曲の中に、どこかさびしげな、憂いのあるような歌詞やコードが入りそうな感じですね。

もう一つは、「出会い」と「別れ」の不可逆性という常識をあえて崩し、全ての「出会い」は「別れ」から始まるのだという逆説から、「別れ」をテーマとする方向。巧妙な言葉の言い回しで、そんなハズはないのにもしかしてそうかもしれない、と思わせるような曲がイメージされます。

さて、筆者はヒネクレ者のアマノジャクですので、常識を覆すとか大好きなのです。
後者を選択して、このモチーフを元に、具体的な楽曲イメージを固めていきます。